現在位置の階層

  1. ホーム
  2. 文化財の紹介
  3. 町指定文化財
  4. 蝦夷一覧

蝦夷一覧

蝦夷一覧(えりも町町指定文化財1)(1984年1月27日指定)

蝦夷一覧

 作者・作製年については不明である。北海道開拓記念館の鑑定によれば、「蝦夷一覧」のような絵画は江戸時代末期特に安政期から明治初期にかけて作製されたものが多く、転写されたものである。当時の代表的な絵師村上島之丞(別名 泰檍丸1760~1808)、小玉貞良(号龍円斉1688~1763)の作品から転写したものであると考えられているが、他の絵図にない画もあり、アイヌ民族を理解する上で最小限必要な知識を得るために作られたと考えられる。

  この「蝦夷一覧」は当時幕府や警備にあたった東北各藩の関係者が現地の知識、情報収集の手段として原絵の転写を函館の絵馬師たちに依頼したと考えられる。地元に精通し、貧しいがゆえに求めに応じて手軽に描く絵師の存在は、アイヌ民族を描く重要な役割を果たした。絵の上手下手にかかわらず、描きしたためたる彼らの一人が「蝦夷一覧」の作者なのであろう。これは、この画集が先の二人が用いたような高価な絵具ではなく、まさに絵馬師たちが用いていた安価な絵具によって彩色されていることからも理解できる。

  原絵の良さが生かされているために、この画集はたいそう活用されたらしい。
手垢にまみれ、まくりによって和紙も薄くなっている。